第15話【力の差】

3/6
前へ
/475ページ
次へ
 ……はたで見ている俺が、鳥肌を感じるほどの殺気を一人で正面から引き受ける。 『それはまずいのではないのかノ』  だから、はなはだまずいって……。  笑顔のまま、凄まじい殺気と共に樹丈が進む。  止めるものは誰もおらず、樹丈はハイディンの前に立つと、そのままハイディンを見下ろした。  彼が構えている刀はまるで無視だ。 「その刀が果たして、振るえるか?」  ハイディンは震える体を押さえきれず、まるで重力に押しつぶされたかの様に、膝下から崩れ落ちた。  手は辛うじて、刀を握れている程度。 『戦うどころではなかったノ』  あぁ、あの野郎……どんだけの圧迫感をハイディンに与えたんだ?  樹丈はハイディンの肩を、優しくポンと叩いた。
/475ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1159人が本棚に入れています
本棚に追加