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その向こうから、現れた樹丈の姿に俺は息を飲んだ。
両手にグローブがはめられていた。
危険な香りしかしない。
鋼鉄製のグローブ。
膨れ上がった筋肉。裸の上半身に、両手そのものを武器で包んだ男。
並の男じゃない。
それは今までのやり取りで、十分承知の上だ。
「いいだろう、遊ぼうぜ。樹丈は遊ぶの、大好きだからな!」
そういって樹丈は、両手の拳を打ち鳴らしたのだった。
高らかな金属音がゴングの代わりになった。
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