第15話【力の差】

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 その向こうから、現れた樹丈の姿に俺は息を飲んだ。  両手にグローブがはめられていた。  危険な香りしかしない。  鋼鉄製のグローブ。  膨れ上がった筋肉。裸の上半身に、両手そのものを武器で包んだ男。  並の男じゃない。  それは今までのやり取りで、十分承知の上だ。 「いいだろう、遊ぼうぜ。樹丈は遊ぶの、大好きだからな!」  そういって樹丈は、両手の拳を打ち鳴らしたのだった。  高らかな金属音がゴングの代わりになった。
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