第16話【笑みの中の攻防】

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 地面を滑るように移動していた健人が、側面から大きく隠し槍を振るったからだ。 「おっと!」  樹丈はそれをすんでのところで、ガード。使ったのは空いていた左手だったが、その動きのために右拳に蓄えられていた力は霧散している。  そこから、岩清水と健人の猛攻が始まった。  岩清水が右、健人が左に位置して、攻撃を繰り出していく。 『凄まじいノ』  あぁ……。  九尾が呟いて俺が返事をした理由。  凄まじいのは誰か。  決まっている。  岩清水の動きも、健人の動きも、素晴らしい。素早さ、攻めのタイミング、目を見張るものがある。  だが、凄まじいのはやはり樹丈だった。
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