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バス停のベンチに座っている間も、しっかりくっついて暖を取る。
それでもいよいよバスのライトが遠くに見えたら、女装も解除。
普段から人気のない道ではあるけれど周囲を確認してからカツラを外しリュックに詰める。
「それじゃ、」
そう云って立とうとする俺を軽く引き留める。
顔に掛かる影。
前触れもなくキスする空気。雰囲気。
それに気付いてしまう俺。
目を閉じて触れる感触を受け止め、離れていく吐息に甘い匂いを感じる。
薄目で見上げれば嬉しそうな顔が離れていくところで。
「…バス、くるのに。」
「暗いから見えないだろ」
「確信犯ですね?」
「キスしたかっただけだけど?」
「悪い?」みたいな言い方して。
「イジワル。」
膝に乗せていた荷物を掴み上げ立ち上がった。
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