死のゲームは満月の夜に

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漆黒の夜に黄金色の丸い月が浮かび、微かにレースのカーテンのような薄い雲がかかっている。 街が寝静まるにはまだ早く、この満月の夜を貪るようにネオンが煌々と輝いていた。 そんな夜に、密室に三人の人間が無言で向かい合っている。 いや、正確に言えば、二人の男が向かい合い、一人の女がその様子を見守っているのだ。 サングラスをかけたスキンヘッドの男は、仰け反るように座っていたソファーを座り直し、両手の指を合わせるようにして絡ませると、ドスの効いた声で言った。 「断れるとでも思っているのか?」 ストライプのスーツにくわえ煙草、少しずり落ちたサングラスの下から睨み上げるような鋭い目付きが、この男の職業を物語っている。 やっかいな事になった、と俺は被っているハットを上から押さえ、少し深く被った。 密室でこの厳つい男と向かい合っているもう一人の男というのは、もちろん俺だ。 半分近くが灰になった煙草を灰皿に押し付けて消すと、俺は既に何度も言った言葉をまた繰り返す。 「剛田さん、それはムリだと申し上げたはずです」 「昨日の晩も家に戻ってねぇ。浮気してるかもしれねぇんだぞ。してるならしてるでその証拠を押さえる。それがアンタの仕事なんじゃねぇのか?」
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