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確かに、この剛田の言う事は間違ってはいない。
だが、今回はどうしても引き受けられない理由がある。
「俺がこうしてわざわざ頭下げに来てんだ。それでも無理だってのか? あ?」
剛田は凄みを効かせ、今にも掴みかかってきそうな迫力だ。
歳は五十を過ぎてなお、肩の筋肉が盛り上がっているのがスーツ越しにも見てとれる。
しかし、この男は見た目だけではない。
一つの組を纏める親分でもあるのだ。
今、この松浦探偵事務所の周りには、三台ものピカピカに磨かれた黒塗りの車が停まっている。
親分の内密の相談という事もあり、子分達は事務所の外で待機させられていた。
正直な所、俺だってさっさと仕事を引き受けてお引き取り願いたい。
だが……
「ウチのメルローズちゃんが浮気で妊娠でもしたら責任とれるってぇのか?」
そう、このメルローズちゃんが問題だ。
どこぞの囲っているキャバ嬢なら追跡も容易なのだが、今回は事情が違う。
「てめぇ、メルローズちゃんが猫だからってナメてると痛い目みるぞ」
そうなんですよ。
メルローズちゃんが猫ちゃんなんですよ。
責任なんかとれるわけないっしょ?
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