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「心配してない。それより紘斗がそういうことを話してくれるっていうのが断然うれしい」
姫良が心底から笑うと、紘斗のしかめたような顔に見おろされた。
正確に云えば、しかめた、というのとは違う。
なんだろう。昼に会社で見た表情と同じだ。
「姫良」
「紘――っ」
何をするつもりか、気づいて止めようとしたときはすでに遅く、場所をわきまえず、紘斗が姫良のくちびるをふさいだ。
一瞬よりはちょっと長いキス。
「行きたいとこあるか?」
歩きだしてまもなく、紘斗が訊ねた。
「わたしの部屋、このまえのワインが残ってるよ」
「決まりだ」
「わたしって可愛い?」
「襲うつもりはない。心配しなくても」
ずれている会話に笑いだすと、紘斗の手が姫良の肩を強く引き寄せた。
-The end.-
Will be continued in the next time.
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