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「何? わたしはまえのことなんて気にしてない。紘斗を見ててだらしないって思ったことないし」
「そうじゃなくて、云い訳してるみたいだろ。社長に煽られて云い返したことも、ガキみたいだったって反省してる」
紘斗は自嘲するように笑った。
「そんなことない。わたしはうれしかったよ」
「おれもうれしかったかもしれない」
「え?」
「おれを疑ってない」
「紘斗は紘斗だから、疑うことなんてないよ」
いつかと似たセリフを云うと、紘斗は可笑しそうな笑みを漏らした。
「離婚は親父が金策してる最中だった。
もともと仲がよかったわけじゃないし、会社が危なくなってそれに拍車がかかった。
社長に云ったとおり、親父はいまでも返済してる。
働きだしておれが援助するって云っても断られた。
そこは親父のけじめだろうし、だから親父のことでもだらしないことでも、姫良に心配かけることはない」
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