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「うぜーっていったんだよ。親が離婚してからもう8年以上経つだろ。
俺は、妹の記憶なんてほぼないし、それで学校で仲良くされると周りに変な目でみられるだろ。
いいか、学校で声かけるな、近寄るな。わかったか?チビ助」
チビ助……そう、それはひかりの小さい頃のあだ名。
しかも、それをつけたのは……紛れもなく。
「やっぱ、ちぃ兄ちゃんじゃん!!そのあだ名付けたのちぃ兄ちゃんなんだからね?!なによ、妹にあえて嬉しくないわけ!ちぃ兄ちゃんのばか……」
寂しそうに俯くひかりに、
そっと大きな手が頬に触れる。
ふわっと香る懐かしい、匂い。
「ひかり、顔あげてごらん」
「ちぃ兄ちゃ、」
その瞬間、
柔らかなものがひかりの唇に触れる。そして、それは少し長い間息が、止まるほどに。
「ま、こんなもんかキスって」
あっさり、男はひかりにキスして
無表情で目線を合わせる。
その目は笑ってるようにもみえる。
「な、はぁあーーー?!ちぃ兄ちゃん今な、なにしたの?!」
「あ?キスだけど。なにお前初めてだったのか?そりゃ、ご馳走さまでした。あー、もう入学式始まるから行かないと俺一応ここの新入りの教師だからさ」
「教師?!え、ちょ、まってよ!ちぃ兄ちゃん!!」
「それと、もうひとつ教えてやる。
お前小さかったから覚えてないけど、俺は親父が連れてきた子供で、お前は今の母親の連れ子だから。
だから、俺とお前は赤の他人。
これからなにもしても、文句は言えない立場だから覚えとくように……じゃ、またな。チビ助」
「ちょっ、うそでしょ……」
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