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無事、入学式が終わり満開の桜のしたでひかりは先ほどの事を思い出していた。
まだ、唇に残ってる感触……
「いかん、いかん、あんなやつ……ちぃ兄ちゃん……」
「俺が、どうしたって?」
ハッとその声に気づいたときには時すでに遅し。
ひかりの細い手首を大きなてが掴む。
「ちぃ兄ちゃん!」
「学校では、先生って呼べ。
今日から一年間お前の担任になったんだ。ありがたくて仕方がないだろ?チビ助」
「やだよ、やだっ!あんなことするやつの事を先生なんて呼びたくない!ばかっ!ひどいよ!私達、兄妹なのに……」
「まだそう思ってんのかよ、言ったろ血は繋がってないって。俺からしたら……」
「え?」
何か言いたそうにしたが、
男は途中で言葉を止めて、ひかりの頭をポンポンっと優しく叩く。
「ひかり、またな」
涼しげな顔で、男はーーー
久賀 千広は一瞬優しそうな瞳を向けた。
あの目は、幼い頃のちぃ兄ちゃんだ。でも、少し寂しそうにも見えた……
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