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「金欠だぁ…」
公園で項垂れる一人の男
「夢を叶えないと駄目なのに…」
『両善 金未(りょうぜん かなみ)』
平凡ではあるが、平凡ではない夢を抱いたフリーターである
「悩んでも仕方がない、さっさとバイト行くか…」
「そこの貴方?」
女の人に声をかけられた気がしたが、気のせいだろう
「そこの金欠そうな貴方?」
オレジャナイ、ゼッタイニオレジャナイ
「いや、貴方ですよ、そんなに自分に言い聞かせるようにしてないで話を聞いてください」
ナチュラルに心を読まないでほしい
「読んでないですよ」
ほら!今読んでる!
「そんなことはどうでもいいので話を聞いてください」
「いやです」
「貴方に儲け話を持ってきました」
「聞けよ、って何だって?」
「だから儲け話を持ってきました」
「…どれくらい稼げる?」
「これくらい」
指を一本立てる
「一万?」
「違いますよ?」
「まさか十万!」
「いいえ?」
「はぁ…もしかして千円か…」
「一億です」
「は?」
「いちおくえん、稼げます」
「嘘、だ、ろ?」
「どうします?この話、乗ります?」
「リスクは?」
「それなりには」
「だよなぁ…」
「だけど、頑張れば短期間で稼げます」
「本当だな?」
「嘘はありません」
「乗った!」
「その言葉を待ってました」
そう言って女性は何か四角い物とカードを取り出し、渡してきた
「なんだこれ?」
受け取って女性を見た、が
「いない?どこ行ったんだ?ってやべぇ遅刻する!」
そのまま金未はバイト先へと走っていった
「ふふっ」
さっきの女性は静かに笑う
「金未くんは知っているかしら、儲け話って信じる者って書くのよ」
「一番儲けるのは誰かしら」
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