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白い、どこまでも白い空間に、一人の青年が横になっている。
年齢は二十代半ばというところか。
「Zzz...」
静かな寝息をたてている。
この男がここに現れてどれほどの時間が流れたか。いつの間にか、一つの丸いテーブルがあった。
「まだ寝てるや。人間はこんなにも寝続けるものなのかな?」
その丸いテーブルの上に、一匹の黒猫が座り、青年を観察している。
突如白い空間に異色の光が輝くと、そこには白い少女が立っていた。
「ダニー、許可が貰えたよ~。やったね~。」
「当たり前だよ。今回のは仕方なかったと言えるからね。それと、ダニーじゃなく、ダニエルね。」
「ダニーは固いな~。ところであの子は~?」
「まだ寝てる。」
どうやら、黒猫はダニエルというらしい。にしても、猫が喋るのに疑問を持たないのか、少女は黒猫と話をしている。
と、青年が起きるのか、身じろぎをした。
「ん、んん~?...。ん?」
青年はまだ意識がハッキリしないのか、ボーっとしたまま、辺りを見回している。
「お、起きたみたいだね。」
ダニエルの声に、青年は意識を覚醒させ、見る。
「だ、誰?」
青年の疑問ももっともだろう。白い空間に少女と黒猫、この不思議な状態に、すぐに対応できないのも、もっともだろう。
「誰とは、何とも不躾だね。まぁ、仕方ないだろうが。
僕はダニエル。 隣はキョウだよ。
自分の事はどれだけ覚えてる?」
「??...えっと...」
突然の問いに戸惑う青年。
「ふぅ。じゃあ、君の名前は?」
「お、俺は龍輝、神室龍輝。えっと、ここは?」
「ふむ、まずは君の疑問の解決と状況の説明をしていこうか。
答えれるものはしっかりと答えよう。」
どこか偉そうなダニエル。面くらいながらも言葉をつないでいく龍輝。
何とも面白い光景だ。
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