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「貴様ら道具は使えないと分かれば捨てられることを忘れてないだろうな!」
「心配ございません。」
見失ったという癖に心配はいらないと言うシャグラスに疑問を覚え、どういうことだとベルデットは答えを促した。
「貴方の灰色はここで終わりますから。」
グサッ、と生々しい物音が鳴りベルデットの左胸から数本のクナイが突き出て血液が流れ出る。
ベルデットが憎々しげな視線と共に背後を振り返るとその場にいたシャグラス達がクナイを己の左胸を突き刺していることを知った。
「クッ…道具‥…‥如きが‥…‥何を…。」
片膝をついたシャグラスが口を開き顔を隠していた黒くノッペリとしたマスクをとるとベルデットは目をこれでもかと見開く。
「俺…と…同じ‥…‥顔だと…。」
そう、ベルデットの目の前にあったのはシャグラスの服を着た見知った自分の顔だった。
「灰色のドッペルさんに出会った君は透明になっていく。」
もう一人のベルデットが死にかけのベルデットの眼前を手で遮り下ろすと死にかけのベルデットは瞼を降ろし地に伏した。
「Welcome to the world transparent(ようこそ、透明な世界へ)」
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