2章 彼女

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幼稚園に、 一緒に通うことになったとき、 「小夜子ちゃん、うちの弘、 ぼんやりしてるからお願いねって。」 私おばさんに頼まれた。 ヒロ、西村弘とは親の会社が一緒で、 おなじ社宅に住んでいる。 私の階がヒロと同じ棟の四階で、 ヒロが3階。 幼稚園に二人で入った日から、 私はヒロの送り迎えをしている。 「ヒロ君遅刻するよ」 「ヒロ君、今日遠足だよ。 ランドセル要らないって」 小夜ちゃんが居てくれれば、 おばさん要らないね とまで言ってくれてたのに。     それから、 ずっとヒロと一緒。 私は、人と仲良くなるのが苦手。 でも、ヒロが一緒にいてくれるから、 安心していられる。 それがいきなり、 お役御免ってなるわけ? 私、何?これからどうするの? ヒロ、それって契約違反じゃないの?     ヒロが、2ランク下の公立高校に するって決めたから、 私もここにしたのに。 彼女できたら意味ないじゃん!! ちょっと待った。そっか。 まだ返事聞いてなかった。 「ヒロは、返事は?なんて答えたの?」 NO? YESじゃないよね? 「もちろん、OKしたよ」 何で? 何で、OKなんかするのよ。 付き合ってもいいって、 何で聞いてくれないの? どうしよう。ヒロ。 私、1人になっちゃう。 そんなのやだ。 耐えられない。 彼女いてもいいから、 一人にしないで!!
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