第1章

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いーっだ、 子供みたいに歯をむき出す玲菜にあたまが痛い。 でも、 その左頬は見るからに痛そうに腫れていて、 のっぴきならない状態であることが見て取れる。 「ついて行ってやるから、いこ?」 「ついて行くじゃなくて、 引っ張っていくの間違いでしょ!」   そういって玲菜は怒ってるけど。 中学生にもなって歯医者嫌いで、 おばさんから引っ張って連れて行ってくれって 頼まれるってどうなのよ? 「ほら、大人しく歯医者にいくんだったら、 治療が全部終わったら おまえが欲しいっていってたあのぬいぐるみ、 買ってやるから」 「……大中小セットで買ってくれる?」   涙がたまった目で、 しかも上目遣いで玲菜が俺を見上げる。 ……勘弁して欲しい。 三つセットなんて財布がかなり軽くなるのに、 そんなんされたら、もう。 「わかった。 その代わり、 ちゃんと最後まで治療するんだぞ?」
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