第1章

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「でもやだもん」   子供みたいにふくれてる玲菜のおなかは、 ぽっこりとなっている。 ……現在妊娠八ヶ月、だ。 「あのなー、 おまえが俺だったら我慢できるっていうから、 わざわざ歯科医になったの。わかる?」 「頼んでないもん」   ああもう。ああいえばこういう。 「それに、 歯科医の奥さんが歯医者嫌いで 虫歯だらけなんて、しゃれにもならないだろ」 「……虫歯ないもん」   ぷーって、頬を真っ赤にしてふくれられてもな? というかおまえ、 もう三十になるっていうのに、 そんなに可愛くてどうするの? 「そ・れ・は。 俺がマメに、メンテナンスしてるからです。 だから初期程度ですんでるだろ? と、いうわけで嫌がらない」 「ううっ」 「ご褒美、あげるから」
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