金髪美少女、現る

2/4
前へ
/14ページ
次へ
「次は僕の番だから静かにしてくれないかな」 優木が会話を遮るようにして、席を立った。 「えーと、優木 流です。中学の頃はサッカーをやってました。よろしく」 自己紹介が終わるや否や、きゃー、と黄色い歓声が起こる。 一部からは、かっこいいよね、などという声が聞こえる。 やはり優木は女子に人気のようだな。俺から見ても、かっこいい。 自己紹介はつつがなく進み、今日の予定は終了した。 生徒たちは、大半がまだ教室に残っている。 「ねーねー、やまとっちー」 「……」 「えっ? 無視!? ひどいよー」 「俺のことか?」 「そうだよ! 他に誰がいるのさ!」 いきなり喋りかけられたので、まさか俺に対しての呼びかけだとは思わなかった。 確か、六宮とかいう女子だったな。 「悪いな。それでどうした?」 「やまとっち、今朝喧嘩してたって本当?」 「まあ喧嘩というか……。勝負かな」 「なにそれー! いっしょでしょー」 どうやら六宮の笑いのツボに入ったらしく、くひひ、と言いながら笑っている。 入学式に遅刻したり、自己紹介中に寝ていたり、面白い奴だ。 「おい、あの噂本当だったのかよ」 「やべーな、あいつ」 俺の方を見ながら、小声で話している生徒たちが何人かいる。 なるほど、そういうことか。 自己紹介の時も目線が気になったが、どうやら今朝のことがもう広まっているらしい。 人の噂はなんとやら、だな。 「でも、やまとっちは悪い人じゃないってことは分かるよ!」 「さあ、どうだろうな」 「絶対そうだよ! だって私と普通にしゃべってくれるもん!」 「それが普通じゃないのか?」 「うーん、なんというか、遠慮してないというか」 「当たり前だ。クラスメイトだしな」 「でもでも、私ってちょっと変でしょ? だからあんまり人に好かれないんだと思うの……」 「そうか? 俺は六宮のこと良いと思うぞ」 かなり面白いからな。 「えっ……。な、なにさー! 急にー! ほめてもなんもでないぞー!」 なぜか、急に焦る六宮。どうしたのだろうか。顔が赤い。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加