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金髪美少女、現る
「さて、入学式も終わったことだしホームルームも兼ねて少し連絡事項を伝えますねー」
担任によって時間割や、保護者などへの書類が配られる。
そして各々の細かい説明がなされていく。
「分かってはいたけど、土曜日も授業があるなんてね」
「とは言っても半日だ。大したことはない」
「すごいねー」
優木と小さな声で、談笑する。
春の日差しが眩しく、爽やかな風が教室を通り抜ける。4月の気候は新生活を迎える人々のためにあるように優しい。
「……以上です。ちゃんと覚えておいてくださいねー。じゃあ次は自己紹介でもしましょうか」
やっと連絡が終わったようだ。言われた通りしっかりと覚えておこう。何をだろう? まあなんとかなる。俺の前の奴なんてずっと寝てたしな。
「じゃあ出席番号順でお願いしますねー」
教室の右側前方から自己紹介が始まる。
「赤城義治です。中学の時はサッカーやってました。よろしく」
俺の順番までは時間がある。こういう時、出席番号が後の者は得をするような気がする。
「こ、琴浦です。よろしくおねがいします……」
……緊張しすぎだろ。ほとんど聞こえなかったぞ。まあ、しょうがないか。このクラスのほとんどは皆、知人ではないしな。
お、もうすぐで俺の順番か。
「六宮さん、六宮さん!」
俺の前の奴だ。まだ寝てやがる。ある意味すごいな。
「あの子って遅刻してきたよね?」
「ああ、あのすごい可愛い子ね!」
さっそく印象に残ってる。やはりすごい。
「ろーくーみーやーさん!起きてください!」
「ふぁいっ!?」
寝ぼけたような声だ。少し笑いが起きる。男子からは、かわいいー、という声も聞こえる。
「今は自己紹介の時間ですよー」
「あっ、はい! 六宮 奏 (ろくみや かなで)です! えーっと、元気です!」
周囲が大きな笑いに包まれる。「なんだそれー」、「自己紹介なの?」と、口々に笑いながら言う。
「えへへー」
それを受け、照れたように笑っている。
「はあ。じゃあ次どうぞ」
俺の番だ。
「俺は山本大和だ。よろしく」
いたって普通に自己紹介した。はずなのだが。
なぜか周りの反応がおかしい。なにかひそひそと声が聞こえる。
「あれが噂の……」
「確か三人も……」
「……えー、そうなの?」
なにか悪いところがあったのだろうか?わからないな。
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