金髪美少女、現る

1/4
前へ
/14ページ
次へ

金髪美少女、現る

「さて、入学式も終わったことだしホームルームも兼ねて少し連絡事項を伝えますねー」 担任によって時間割や、保護者などへの書類が配られる。 そして各々の細かい説明がなされていく。 「分かってはいたけど、土曜日も授業があるなんてね」 「とは言っても半日だ。大したことはない」 「すごいねー」 優木と小さな声で、談笑する。 春の日差しが眩しく、爽やかな風が教室を通り抜ける。4月の気候は新生活を迎える人々のためにあるように優しい。 「……以上です。ちゃんと覚えておいてくださいねー。じゃあ次は自己紹介でもしましょうか」 やっと連絡が終わったようだ。言われた通りしっかりと覚えておこう。何をだろう? まあなんとかなる。俺の前の奴なんてずっと寝てたしな。 「じゃあ出席番号順でお願いしますねー」 教室の右側前方から自己紹介が始まる。 「赤城義治です。中学の時はサッカーやってました。よろしく」 俺の順番までは時間がある。こういう時、出席番号が後の者は得をするような気がする。 「こ、琴浦です。よろしくおねがいします……」 ……緊張しすぎだろ。ほとんど聞こえなかったぞ。まあ、しょうがないか。このクラスのほとんどは皆、知人ではないしな。 お、もうすぐで俺の順番か。 「六宮さん、六宮さん!」 俺の前の奴だ。まだ寝てやがる。ある意味すごいな。 「あの子って遅刻してきたよね?」 「ああ、あのすごい可愛い子ね!」 さっそく印象に残ってる。やはりすごい。 「ろーくーみーやーさん!起きてください!」 「ふぁいっ!?」 寝ぼけたような声だ。少し笑いが起きる。男子からは、かわいいー、という声も聞こえる。 「今は自己紹介の時間ですよー」 「あっ、はい! 六宮 奏 (ろくみや かなで)です! えーっと、元気です!」 周囲が大きな笑いに包まれる。「なんだそれー」、「自己紹介なの?」と、口々に笑いながら言う。 「えへへー」 それを受け、照れたように笑っている。 「はあ。じゃあ次どうぞ」 俺の番だ。 「俺は山本大和だ。よろしく」 いたって普通に自己紹介した。はずなのだが。 なぜか周りの反応がおかしい。なにかひそひそと声が聞こえる。 「あれが噂の……」 「確か三人も……」 「……えー、そうなの?」 なにか悪いところがあったのだろうか?わからないな。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加