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俺の前を歩いていた女子高校生が、ガラの悪い、いわゆる不良というやつに絡まれている。
まったく、世の中には馬鹿が多くて困るな。
「ねえねえ、君、大国高校の生徒だよね? よかったら俺らと遊ばない?」
不良の一人が、やはり馬鹿みたいな誘い文句を言っている。
「す、すみません。学校に行かなくてはいけないので……」
女子高校生が怯えながら答える。
やはり男としてはこのような場面では女性を助けるべきなのだろうな。
だが、厄介事は面倒だな……。
「おい! なに見てんだおまえ!」
不良が叫ぶ。多分、俺に向けての言葉だな。周りには俺しかいないのだから。
「登校の邪魔をするのは良くないと思うぞ」
俺はなるべく相手を刺激しないように注意をしてみた。
「あぁん!? うるせえ! お前に関係ないだろ!」
無駄だったようだ。
「お前、なめてんのか?」
「ぶっとばすぞ、コラ!」
「調子にのってんじゃねえぞ!」
三人の不良が口々に威嚇をしてくる。
どうやら矛先は完全に俺に向いたようだ。この隙に逃げたせば良いと思うのだが、女子高校生はそんな素振りも見せない。たしかに確実に逃げることができるとは限らないからな。
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