入学式

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「先程はありがとうございました。あの、良かったら学校まで一緒に行きませんか?」 「ああ、そうだな。一緒に行こうか」 また不良に絡まれるかもしれないからな。それに、同じ高校なのだから、わざわざ別々に登校する必要もないだろう。 「山本さんはこの近くに住んでいるんですか?」 「まあ、近いほうだな。実家は遠いが」 かなり曖昧な返事だが、事実だ。それにしても琴浦は緊張しているのだろうか。同い年なのだから敬語など使わなくても構わないのだがな。 「す、すみません……」 「なぜ謝る? そんなに緊張しないでもいいぞ。名前も呼び捨てで構わないし、敬語も使わなくていい」 「わかりました。あ、わ、わかったよ! 山本くん!」 ニコッと笑う琴浦に、俺のほうが少し緊張してしまった。
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