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「着いたな」
「う、うん。なんか緊張するね」
私立大国高校(たいこくこうこう)。国内トップの偏差値を誇る高校でもあり、スポーツも盛んである。学力だけではなく、その他の能力も、合格の判断基準に含まれるらしい。
そういえば、俺は面接の時にダジャレを言わされたな。あれは何か意味があったのだろうか?
「えーと、入学式の前にクラスを確認しないといけないみたいだね」
「なるほど」
俺は自分の名前を探す。……H組か。
「山本くん、何組だった? 私はH組だよ」
「同じだ。俺もH組だ」
「よかったー! じゃあ教室まで一緒に行こう!」
「おう」
下駄箱で上履きに履き替えた俺たちは教室に向かう。
「綺麗な学校だよねー」
「そうだな」
「あ、ここだ!」
教室に入ると半数くらいの席が埋まっていた。どうやら座る位置は決まっているらしい。
「出席番号順だから、ちょっと遠くになるね」
「仕方ない」
「じゃあ、またあとでね!」
「ああ」
琴浦と別れ、俺は自分の席に着いた。窓側か。なかなか良いな。
後ろと隣の席には既に人が座っている。俺は話しかけようか迷った。
隣の席は女子だ。隣といっても距離は多少ある。それに本を読んでいるので話しかけられる雰囲気ではないな。そもそも女子と話すのは得意ではない。
後ろは金髪の男だ。なんとなくだが、話しかけやすそうな気がする。なんとなくだが。
そんなことを考えていると、後ろの男が話しかけてきた。
「君、名前なんていうの?」
「山本大和だ」
「僕は優木 流(ゆうき りゅう)。よろしくね」
「こちらこそ、よろしくたのむ」
よく見ると優木は、なかなか整った顔立ちをしている。ハンサムというやつだな。
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