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季節は夏。カラッと晴れた空などなく、ジメジメとした空気が辺りに漂っている。そんな中でも人々は汗水を垂らしながら働いていた。
「うわぁ……あっついわ……」
えと、始まったのかな?えー、俺は嘉賀杏果(かがきょうや)、ちょっとオタの入った普通の高校二年生だ。
「杏果ー!待ってー!」
足音と一緒に人影が近づいてくる。
「言われなくたって待つっての。だいたいなぁ、桜(さくら)?普通は遅刻してきたら何か言うことがあるんじゃないのか?」
こいつは俺の幼馴染みの桃瀬桜(ももせさくら)、長い間一緒に居るせいか兄妹のような関係だ。
「だって杏果が置いてくのがいけないんじゃん!まだ5分しか経ってないよ?」
桜は頬を膨らませて不機嫌そうな顔をした。
「5分でも、遅刻は遅刻。その辺わきまえろよなー」
杏果はくるりと振り返り、桜に言った。そのまま杏果は後ろ向きに歩き始めた。
「そんなことより聞いてよー、またあったんだって!!」
「お前は人の話をまず聞け」
桜が言っているのは先月から多発している失踪事件のことだった。立て続けに同じ地域で起こっているこの失踪事件は手掛かりが何もなく、通称"神隠し"と呼ばれている。
「また神隠しかよ。今月でもう5人目だぞ?」
「うん!だからみんな、本当に神隠しなんじゃないかって騒いでるんだ!」
桜は興奮気味に俺に言った。
「でもよ、共通点とかないのか?」
これだけの失踪事件だ。無差別ということは無いだろう
「あるよ。失踪した人はみんな、20代以下らしいよ!」
「てことは次は桜はかもな」
「ちょっ、そういうのやめてよ!」
………ゴゴゴ
何かがうごめく音がした。
「ん?なんか聞こえないか?」
「そう?私には聞こえないよ?」
……ゴゴゴ
「…!?やっぱり聞こえる!」
音が近づいてくる。それも俺らに近いところから
その瞬間、地面がぱっくりと割れた
「は?」
「え?」
「「うわぁあぁぁぁぁ!!」
俺たちは割れた地面にと飲み込まれていった
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