嵐のあと

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  ──織部克行の前の女。 そのフレーズだけで、 胸の奥がずくりと熱く痛んで、 疼き出した。 「……俺は、 その女が悩んでる姿も、 泣く泣く別れるって 決める姿も近くで見て、 知ってるんだよ」 頭の中で、 何かがぱちんと弾ける。 最後まで聞かずに 逃げ出した方がいいと、 頭は警鐘を鳴らし出した。 早くそうしなくちゃって思いながら、 身体は自分の意思に反して ゆっくりと振り返る。 「そう…… 3年前まで織部克行と 付き合ってたのは── さくら先輩だ」 .
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