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ほら、とユウに手で払われる。
「……ユウ」
「何だよ」
「そういうとこが
いいところだったんだよね。
……ありがと」
「……もう見かけても、
声なんかかけてやらないからな。
損した」
踵を返した背中を見て、
初めて彼に対して
強い罪悪感をおぼえた。
もしかしてあたしは、
与えられることに
慣れ過ぎていたんじゃないだろうか。
数分前までは、
あれほどユウを欝陶しく
感じていたのに──
真剣な彼に対峙したとたん、
やっぱり織部先生を
好きな自分に戻ってきてしまった。
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