後悔

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が、その平手打ちは感情的になりすぎたのか、相手の皮膚をも引っ掻いてしまった。 左頬にうっすらと血が滲んだ。 「い、言うこと聞かないからよ。早く帰って。」 一瞬相手の血とあまりに悲しげな表情に戸惑ったが、余計に帰って欲しかった。 ベッド下に散らかった下着を拾い、黙って身につける彼女は無表情になっていた。 「さよなら、汐菜(しおな)さん。」 抑揚のない別れの言葉。 忘れ去りたい過去のはずなのに、何故か私の心は少しだけズキリと痛んだ。
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