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「じゃ、視力測ってくるから待ってて。」
何故汐菜の方が疲れてるんだろう。
少しぐったりした表情の彼女を椅子に座らし、視力検査に向かった恵。
そもそも、2つもいるのか?
選んだ2つのフレームを見つめながら、記入欄を埋めていく。
普段使いの黒縁と、車を運転する用の縁なし。
汐菜の押しに負けて買ったものの、そんなに眼鏡が好きだっただろうか。
「仕事用とプライベート用など、複数持ってる人は多いですよ。」
「そうなんですか。」
担当の女性に用途を聞かれ話していれば、普通に皆持っているらしい。
私が感覚ズレてるだけか?
「視力が下がる時は一気に下がりますからね。見えにくくなったりしたら、また来てください。」
「はい。」
このまま下がるのは防ぎたいなぁ。
「あの。」
ぼうとしていると、突然店員に掛けていた眼鏡を両手で掴まれた。
「ここ、きつくないですか?」
こめかみから耳辺りをすぅと撫でられた。
多分30代半ばほどだろう女性の目が、誘うように絡んでくる。
「大丈夫です。どうも。」
すぅと頭を引き、手続きを済ませた。
今の眼鏡は凄い。30分ほどで出来てしまうらしい。
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