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汐菜は薄暗い空間でポップコーンを食べる恵を見つめながら、聞こえないようにため息をついた。
年下と付き合うなんて絶対ないと思っていたからだ。
いや、それ以前に同性という立場でなしだった。
なのに、今隣にいる人はまさしくそのあり得ない塊のような人で。
しかも更に問題なのは、もう後戻り出来ないくらい好きだと言うこと。
(年上キラーって、そういえば弟くんも言ってたタイプが違うってそういうこと?確かに30代の女性って家庭的なイメージだけど。)
そんな年上キラーにまんまとハマったってわけ??
私、最初はどこに惚れたのよ!
映画どころでなく、頭を抱えていると恵が隣でその様子をじっと見ていた。
相当怪しかったはず。
「そんなに年下じゃ不満?」
こそっと耳打ちされた内容に、思わず返事が出来ないでいると、恵は「ふぅん。」とつまらなそうにそばを離れた。
それから恵はただ画面を向き、一度もこちらを見る事はなかった。
変な胸騒ぎがする。
恵は怒る時、怒鳴ったりしない。何かを考え込む様に黙り、淡々と核心をつき突き放す。
まさに今がその前兆のようだった。
「眼鏡、受け取ってくる。」
「うん・・。」
引き渡し場所には、例のごとく恵にちょっかいをだした女性がいた。
眼鏡をとりだし、現物確認し、それを掛けてあげている。
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