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じゃあ、俺の10年間は何だったんだって。いや、俺が悪いのか。
「ずっと、待ってたんだ。瑠依の中で俺への気持ちがしっかりして。俺を受け入れてくれるのを。ずっと、隣で。
まさか、10年も逃げられるなんて思ってなかった。」
俺の頬を優しく撫でながら、柊は話す。
俺といえば、柊が言ったことがまだ理解出来なくて。さっきから頭の中でリフレインしている。
「……瑠依、聞いてるの?」
「き、聞こえない。柊が何言ってるのか分からない……っ、」
きっと俺の耳がおかしくなったんだ!
しゅ、柊が俺の事を、……いや、そんな事あるわけない!
それより、そんなことより。
俺の気持ちが、柊にバレてたって事実に驚きすぎてどうしていいか分からない。
「瑠依。」
「はっ、離せ…っ!」
パニくり始めて暴れだした俺を、柊が上から抑えつける。
「瑠依が納得するまで、何回でも言うよ?それとも、瑠依は信じたくない?もう、俺の事、信用できない?」
「ーーっ、」
静かに話す、柊の声。聞き覚えのある、声。この声を出す時の柊は、いつも何かに哀しんでる時だった。
「……ね、瑠依。もう、遅い?」
恐る恐る柊の顔を見ると、眉毛を下げて悲しそうに目を細める柊がいた。
「……もう、無理なのかな………。」
ゆっくり顔を近付け、再び、柊は耳元に囁き続ける。
「瑠依は、もう、俺が隣にいなくてもいい………?」
俺に聞こえるように、静かに優しく囁き続ける。
柊が、俺を好き?いつから?高校の時から?もう、遅い?何が?無理?何が?
隣に、柊が居なくてもいい……………?
ーーーーそんな訳、あるか!
「………かが。」
「瑠依?」
「…………この、バカがっ!」
掴まれていた腕をバッと外して、柊の首に巻き付けた。突然大きな声を出したからビックリして怯んだ様だ。
「ーーーお前は!俺がどんな性格か分かってて、追い詰めることすんな!なんで、無理やりでも俺を奪わなかったんだ…………っ!」
「瑠依………、泣いてるの?」
「………るせっ、」
ずっと好きだった奴が手に入るんだ……っ。泣くに決まってるだろ!
「………瑠依。ごめん。泣かないで。俺がどれだけ瑠依を思ってるか、一晩中体に教えてあげるから。」
「え。」
今、なんて、言った?
「大丈夫だよ?俺に任せて。」
「いや、あの、」
て、展開早すぎやしないか!?
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