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絶体絶命って、こういう事かと。
だからといって、体験なんてしたくなかった。
「ちょっ………!待てって、柊!」
何も言い出さない俺を引っ張って。
ホテルの中に入った柊は、勝手に部屋を決め、俺をベッドに投げた。
「ーーーー柊!聞けって!」
「何を。」
背後からスーツの上着を脱がされ。俺の上に馬乗りになった柊は、自分のジャケットを脱ぎ、ネクタイをシュルっと抜いた。
「マジで、待てって!お前、こんなことして…………っ、そもそも男抱けんのかよ!?抱いたことあんのかよ!?」
俺を押さえつけながら、器用にシャツのボタンを外していく。
「ないよ。ある訳ないでしょ。」
俺を見る目は、相変わらず冷たい。
なんで、そんな目でお前に見られなきゃいけないんだ………!
「だったら、なんでこんな事………っ!」
「そういう瑠依だって。」
俺をより強く押さえつけるためか、腕を強く掴んでくる。その力が、痛くて。顔が歪む。
「抱かれたことあるの?もう、経験済み?…………ああ、誰でも良かったんだっけ。知らなかった。瑠依って、淫乱なんだ。」
「ーーーーーっ、」
『淫乱』
その言葉に、目の前が真っ暗になった。
なんで、お前に、そんな風に言われなきゃならない?
俺、お前に何かした?ほっとけばよかったじゃん。俺が誰といて何をしようとしてたって。
今まで、抵抗していた力が抜ける。
「…………………瑠依?」
もう、いい。そう思いたきゃ、思ってろよ。そして、もう、俺に構わないでくれ。
「…………やりたきゃ、やれよ。」
もう、どうなっても、いい。
グチャグチャに、壊してくれればいい。
目頭が熱くなって、目の前の柊の顔が見えなくなった。
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