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ちょうどいいタイミングで、クロス屋の男は若い衆に呼ばれて向こうに行った。
あー、ヤバかった。俺は大きなため息をついて、後始末を再開した。
大きな道具は、粗方片付け終えていて。後は細々としたものを道具ケースにいれるだけだ。
木くずなど残さないように綺麗に掃除して、俺が建てた平屋を外から眺めた。
「…………………………………。」
ふと、思い出すのは。
1ヶ月ちょっと、毎日のように俺に会いに来たヤマト。
「……………………。」
まだ、忘れられそうにないな。
当たり前か。昨日まで会ってたんだ。そんなすぐに、俺ん中から出ていってはくれねえよな。
今日が、昼まででよかった。
1日かかる仕事だったら、もしかして会いに来るんじゃねえかって、勝手な期待しちまうとこだった。
「………………………。」
視線をずらすと、生徒たちがいる校舎が見える。
あの中のどこかに、ヤマトがいる。
頭の中に浮かぶのは、いつもの思考が読めない表情。
はは。笑顔じゃねえのが、ウケる。
「………………………じゃあな。」
最後の道具ケースを抱え、俺は、帰るために自分の車に向かった。
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