始まりの瞬間

最終章

「あれ～？大江さん。もう帰っちゃうの？」

「…………………どーも。」

月曜日。午前中で大工仕事を終え、後始末をしていたら、クロス屋が声を掛けてきた。

……………コイツか。面倒くせえやつに会っちまったな。

「なぁんだ。大江さん今日までなら、もっと早く来るんだったなー。」

「……………………。」

仕事しろ。仕事。

クロス屋の男（名前忘れた）は、前に一度仕事をしてから、こうやってちょっかいを出してくる。

どこでバレたんだか。それとも同類だから分かったのか。馴れ馴れしく話しかけてくる。

「そーだ。大江さん。今週末、うちの取り引きのある業者さんを呼んで親睦会開くんですよ。大江さんも是非とも来てくださいよ～。」

「すみません。自分、酒弱いんで、遠慮させて下さい。」

「ええ？そうなんだ？それこそ、俺に任せて下さいよっ。介抱するんで～。」

「…………………。」

マジで、うぜぇ。

俺、今、顔に出てるんじゃねえか？勘弁して感、満載だけど。