115人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺の事、好きだよね?」
何度も角度を変え、ヤマトはキスを繰り返す。
「俺も、タケルさんが好きだよ。」
「……………………っ、ふ、」
「ホントは昨日言うつもりだったのに…………、タケルさん誤解してんだもん。焦ったよ。」
コツン、と、額同士を合わせて、ため息をつくヤマト。
「…………幸せ、逃げるぞ。」
「逃げないよ。タケルさん捕まえたから。」
「……………………。」
お前、なんでそんな恥ずかしいこと。サラッと言うんだよ。
「とりあえず、週末。俺、あんたの家に泊まりにいくから。」
「は。」
「逃げないでね。」
そう、呟き。深く口付けてくるヤマトに。この、急展開に頭がついていかない。
「…………お前、授業、戻れよ。」
「んー、名残惜しい………。」
俺も、名残惜しい………なんて、言わねえからな、絶対!
「今から、別の現場行くんだよ。」
「じゃあ、今日はもう夕方会えない?」
…………………………。
お前、そんな可愛い事言うなよ。
「…………仕事終わったら、また連絡する。」
「分かった。待ってる。」
俺がそう言うと、ヤマトは、いつもの読めない表情になり、すぐに車から出ようとする。
「………これから、よろしくね。タケルさん。」
「…………ああ、よろしく。」
ニッコリ笑って車のドアを閉めるヤマトを見送って、俺もこの学園を後にした。
俺のここでの仕事は終えたけど。
ヤマトとの事は、これからも続いてくんだと思うと。
自然に笑ってる自分が、いる。
……………まあ、ヤマトが何を思って週末泊まりにくるって言ったのかは、あまり考えないでおこう。
今日、朝の淀んだ気持ちとは正反対に、晴れやかな気分で。俺は、車を走らせた。
ーーーーend
最初のコメントを投稿しよう!