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後ろを振り返って、目を見開く。
「ひぃっ」
自販機から飲み物がガコンと落ちる音とともに、喉から無意識にそんな声が出た。
「………」
「………」
目の前にいる人物ーーー周防さんを見て、背中にたらーっと嫌な汗をかく。
「…とらないのか」
「え…あっ!」
慌てて缶を取り出し、どうぞどうぞとばかりに自販機の前を譲る。
勤務外の時間にこの人とどう接したらいいのか分からない。とりあえず、一言添えて去ろうと回れ右を開始する。
「お前…ブラック飲めたのか」
「え?」
周防さんがガン見している自分の手元を見ると、握りしめていたのは温かいコンポタ ーーーではなく、
「あれ…?コンポタ 買ったはずなのに何故ブラックコーヒーが手元に…?」
自販機を見ると、買うはずだったコンポタ の隣にはブラックコーヒーが並んでいた。
つまり、周防さん登場に驚いた拍子に、間違って隣のブラックコーヒーのボタンを押してしまったわけか。
…私のコンポタ …
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