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「わかってる……。わかってるよ……。自分がバカなことをしてるって自覚ぐらい……わかってる!!」
振り絞るようなアキラの声――
「でも、止まらないの!! 好きっていう気持ちが止まらないの!! あの人の……琥太郎のためなら……」
“琥太郎”――と。
彼女は光姫を名前で呼んだ。
それが意味するところ――
俺の中で何かが爆発して――
アキラが小さく悲鳴をあげる。
彼女を壁に押し付けて――追い詰めて――
彼女の瞳を覗きこむ。
このまま――彼女をここで奪ってやったら、光姫はどんな顔をするんだろうか?
無理やり、奪い取ったら……光姫はどんな顔をする?
「……銀?」
アキラの怯えたような声で我に返る。
……何をやってるんだ、俺は。
無理やり奪っても、彼女は手に入らない。
光姫に対する当てつけのために――彼女を傷つけようとした俺は、光姫と何ら変わらない――。
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