幕間・六

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瞬間――彼女の動きが止まり―― 泣きそうな――それでいて、どこか穏やかな笑顔を見せた。 「知ってる……」 アキラの声が震える。 「知ってるの……。教えてくれたから……」 “僕には大陸に妻と息子を残してきている。忘れることはできない” 「でも、私のことも大事だから……」 「バカか!! お前は!!」 たまらずに、アキラに怒鳴りつけると、彼女はビクッと身体を固くして、俺の腕を離した。 「そんなものは詭弁だ!! 卑怯な男の詭弁を真に受けてどうするんだよ!! 妻と息子を大陸に残してる? 忘れられない? それでも君が大切だ? ふざけるな!!」 これは何に対しての怒りなのか。 妻と息子が忘れられないと言いながら、アキラを抱いた光姫に対してなのか―― そんな光姫に全てをゆだねたアキラに対してなのか―― わからないまま、彼女を怒鳴りつける。
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