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「ねぇ……。銀?」
おずおずと伺う彼女から離れる。
「……光姫隊長とのこと。俺は認めてない。けど……いつでも相談にはのってやるから、何かあった時は俺を頼れ」
「銀……」
「俺、帰るわ。このままだと、お前にうるさくお説教しかねないから」
そう笑いながら――
アキラの返事も聞かず、部屋を出る。
執務室から少し離れ――
壁に寄りかかる。
「かっこわるぅ……」
自分の思いを告げることもできず――
彼女に忠告すらできず――
逃げるように部屋を飛び出して――
自己嫌悪に陥る。
「あれ? 銀さんじゃないか? なにやってんの?」
人の気配と声に顔を上げれば――
よりによって、なんでこんなタイミングでこの男と会ってしまうのか。
件の男――光姫が俺の方に歩いてくる。
「別に。あなたに報告するようなことはなにもしておりませんから」
つい、言葉が刺々しくなる。
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