第1章

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 あの後に携帯を確認すると、見知らぬアドレスからメールが届いていた。内容は指定場所の地図の画像と、宣告通り殺すという内容の文書だった。  送り主は確実に、この間の手紙の主であるはずだ。  メールを僕宛に送った辺り、殺すというのはきっと妹に向けたものではないはずだから、きっと命だけは助かっているはずだというのがせめてもの頼みだった。  僕は組体操の役目を佐々さんに任せて、送られてきた地図に沿って全走力で走りつつ手紙にあったベルフェゴールの正体について考えていた。  親戚でもない、妹でもない、勿論僕でもない。じゃあ、あれは一体誰のことを指すんだろう? 考えろ、考えろ……。  五分ほど走ると、指定された公園に行きついた。中では大柄な男が二人、妹を抱えるようにして立っていた。  妹は生気を失ったように、まるで人形か何かのようにぐったりしていた。 「……っ! はるかっ!!」  その異常な様子に思わず叫ぶと、二人の男が一斉にこちらを見たようだった。  思わず足がすくむ。だが、そんな場合ではない。 「やっと来たか……だいぶ驚いたみたいだが殺してはいない。気絶してるだけだ」 「お前、ベルフェゴールと手を切るようにとあれだけ忠告したのに、馬鹿なやつだな」  にやり、と笑う様子に思わず背筋が寒くなった。だが、それも武者震いだと思うことにして、きっと相手を睨みつける。 「お前ら、誰か別の人と勘違いをしてるんじゃないのか? 僕はベルフェゴールなんて奴知らないし、聞いたこともないぞ」  これは本当のことであったが、相手は全く信じようとはしていなかった。まあ、そんな物わかりの良いやつだったらこんなことしないだろうし、当たり前か。 「今更弁解したって遅え。さっさと手を切ってれば、こんな手荒なことをせずに済んだのに……」  そう言って懐からナイフを出す。偽物ではないようだ。 「目撃者の口も封じないとな。二人まとめて天国まで送ってやる」
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