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二人まとめてというからには、そこには僕だけでなく妹も含まれているのだろう。僕はともかく、妹は本当に何も知らないのだ。せめて彼女だけでも命を保証される権利はあるはずだ。
僕はチャンスをうかがい、隙を狙って金的を二人の男にかました。
衝撃で妹を手から放したのでビンタをして起こし、僕の携帯を押し付けた。
「僕の学校まで行って叔父さん達に知らせてきて。地図はメールボックスにある。叔父さんたちは中庭入って左にいるから」
「えっ、え? お姉さまは?」
「僕は……いいから、後で行くから。気にしないで、ほら」
「えっ、でも……」
「いいから! 早く!!」
そう言って、妹を送り出す。
二人で逃げてしまっては、こいつらは絶対に追いかけてくるだろう。そうなると小学二年生の足と、体育が2でしかも膝に怪我を負った女子高生の足ではいくら金的を食らっていても絶対に追いついてしまう。
近所に助けを求めようにも、この辺りは民家もなく人通りもほとんどなかった。
そして何より、僕は足がすくんでしまって歩くどころか立つことさえ出来なかった。
こんなときに情けない。でもどうしても、足が言うことを聞かなかった。
二人の男が立ち上がり、ナイフを握りしめてこちらへ向かってくるのが分かった。うつむいていても、強烈な圧を感じる。相当怒っているようだ。金的なんかされれば当たり前か。
拾った命を、こんなやつらに奪われるのは惜しい。だが身体は動かないし、一体どうすればいいのか。
僕の脳裏にふと、佐々さんの顔が浮かんだ。他にも友達はたくさんいるのに、なんで佐々さんなのだろう。
なんて、いかにもかまととぶって考えるふりをしてみるけれど、理由はとっくに分かっている。
僕は多分、佐々さんが
地面に映った影が大きく動き、ナイフを振りかぶったらしいことが分かった。
もうだめだ。こんなことなら、もっと
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