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気づいたらもう夕方になっていた。楓はめぐみの手伝いを
していた。マンションの下の駐車場からめぐみの荷物を
部屋まで運んだ。二人の部屋は五階で、楓は一番奥、めぐみは
その手前の部屋だった。
楓は体力や力もそうとうある。それは暇なときに普通に
鍛えているからだ。そんな楓でもめぐみの荷物を
重いと感じた。それは中身を見て納得した。
「これで、最後だな」
「ハイ。ありがとうございます。楓さんがいなかったら
夜までかかってましたよ」
「・・・なぁあんた一人だろ?」
「ハイ。まだ独身です」
めぐみはうつみきながら返事した。
「いや、そこまでは聞いてないが。で、なんで
こんなに荷物が多いんだ?しかも、これ漫画だよな?」
「そうですよ」
楓が持っていた荷物はほとんど漫画だった。箱いっぱいに
入っているので重いわけだ。
「あんた大人なのにこういうの見るんだな」
「ハイ。見ますよ。私、漫画とかアニメが好き
なんで。だから今の仕事を選んだんだし」
「今の仕事?あんた何の仕事してるんだ?」
「う~ん。普通の人には笑われるかもしれないけど
笑わないですか?」
「笑うような仕事なのか?」
「いえ、私はこの仕事が一番素敵だと思ってます」
「なら、普通に言ってもいいだろう」
「そうですね。えっと、私声優なんです」
「・・・せいゆう?スーパーの店員か?」
「ガクン!違います!声優です。声の役者です」
「あぁヴォイスアクターか」
「ハイ。だから漫画や自分の台本を持ってるんです」
「そうか。まぁ趣味は人それぞれだ。俺は興味は
ないがな」
「やっぱりないですか?」
「あぁ。まぁ俺は趣味がないんでね。ついでにいうと
人も嫌いだ」
「そ、そうなんですか?じゃぁどうして手伝って
くれたんですか?」
「・・・わからん。ただの気まぐれだろう」
「そうですか。でも、手伝ってくれたことには
違いないですからね。ありがとう」
「!?・・・」
楓はめぐみの笑顔にまたドキッとした。その後も楓は
めぐみと談話した。それから楓はめぐみに料理を作った。
楓は一人暮らしだ。料理も家事もなんでもできる。
めぐみは楓の料理のうまさに驚いた。そして
楓はめぐみの荷物の中にめぐみが写っているCDを
見つけた。
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