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「なぁこれお前のCDか?」
楓は棚にあったCDを見つけめぐみに聞く。
「あ!うん。それ私の曲だよ」
「声優も歌を出すのか」
「うん。自分が出てるアニメの主題歌を歌ったりする
事はあるよ。アルバムとかも出してるしね」
「そうか。じゃぁ俺と同じ職業でもあるのか」
「うん、楓くんと同じだよって、あれ?楓くんと
同じって?」
「あぁ俺ミュージシャンなんだ」
「そうなの?ごめんなさい。私、普通の芸能とか
そっちの方はうとくて。あの、ひょっとしてすごい
有名人なんですか?」
「有名かどうかは他人が決める事だ。俺が言う事
じゃないが、まぁテレビや雑誌には出てる。まだ
デビューして2年目だがな」
「そうなんですか。そういわれると楓くんの容姿って
そういう感じが出てるね」
「・・・今はいつもの俺だ。まぁライブやる時も
あんま変わらんけどな。俺は前に出るタイプじゃぁ
ないんでね」
「じゃぁ楽器ってベースとか?」
「違う。キーボードだ」
「キーボードなんだ。じゃぁ曲作ったりしてるの?」
「あぁ全部俺が作ってる。そうすれば印税の金が
入るからな。俺がバンドをするのもその為だしな」
「お金の為なんだ。もしかして苦労してる人?」
「・・・そうだな。たぶん、あんたが思ってる以上に
苦労している」
「・・・ごめんなさい。ちょっと軽く聞きすぎてたね」
「いや、いいさ。知ってて聞いたわけじゃないしな!
じゃぁそろそろ帰るわ。ガキは寝る時間だ」
「え?ガキって、あの、楓くんって歳いくつ?
私、大学生かそれぐらいって思ってたけど」
「随分上に見られたな。俺はまだ高校二年だ」
「えぇ!?高校生だったんだ。ごめんなさい。だって
楓くん背が高いし、落ち着いてるからもう大人だと」
「・・・まぁいいさ。じゃぁ逆に聞くがあんたは
いくつなんだ?俺も見た感じは、若いと思うんだがな」
「ははっ!そう言われるのはうれしいけど。私
もう36なんだよ。それでいて彼氏なし」
めぐみはむなしそうに下を向いて言った。
「そうか。ま、それはいいさ。じゃぁ帰るな」
「う、うん。楓くん今日はありがとうね」
「!?あぁじゃぁまたな」
「おやすみ」
「・・・あぁ」
楓はまたドキッとした。めぐみの笑顔がやたら
自分の体をしめつけた。
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