第八章 不器用に繋がる想い

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「どうしてそう思うんだ?」  俺がそう尋ねると、ケイは言いにくそうにしばらく言葉を考えこんで言った。 「田宮が沢渡さんの右腕で、実はスパイでレッドスネークの人間だったって聞きました。それに最近、彼の母親が亡くなったんです」 「亡くなった……?」 「田宮は母親の治療費を賄うために、沢渡さんを裏切って御堂に唆されたんです。けど、その母親が死んで、スパイとして働く報酬を払う必要がなくなった御堂から切られるのが怖くて、手柄を立てようと沢渡さんを単独で襲ったんじゃないかって……」  確かに、スパイなんて他に雇えばいくらでもいる。見返りでつないでいた関係を切ろうが切るまいが御堂の勝手だ。
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