第八章 不器用に繋がる想い

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 するとその時、不意に後ろから黒い影が伸びてくる気配を感じて振り向くと、そこに意外な人物が立っていた。 「け、圭吾!? なんでここに?」 「それはこっちのセリフだ。お前、俺の店で何してるんだ」 「お疲れ様です、沢渡さん」  ケイは恭しく沢渡に頭を下げると、オーダーも聞かずに沢渡に出す飲み物を作り始めた。 「セキュリティーから連絡を受けてな、お前がこの店に来ていると」 「……別に、俺がとこで飲もうが勝手だろ? 逐一俺の行動を報告するのかお前の部下は」 「ここじゃなんだから、こっちへ来い」  そうだ、ここは沢渡の店だった。つい、普段のノリで居座ってしまった。沢渡がここへ来る可能性をすっかり失念していた。
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