第四章 罪なキス

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※ ※ ※  それからというもの、俺は沢渡の晩酌に付き合うという名目で週に三日は沢渡邸へ訪れるようになっていた。 「仕事はどうだ?」 「まぁまぁかな、順調って言えば順調だけど、パープルナイフの連中はほんと血の気が多い奴らばっかりで困る。この間銃弾を摘出してやったばっかのやつがまた別の場所に傷作って今日来たぞ」 「あはは、商売繁盛でなによりだ」  自分の島のやつが負傷して商売繁盛ってなんなんだよ――。  鼻で小さく笑う沢渡をじっと見つめながら俺は酒を煽った。  前回のような失態はもう懲り懲りだ。だから俺が間違えて飲まないようにスピリタスは沢渡の傍に置くことにしていた。 「お前は……どうして医者になった?」 「どうしてって……」 「あぁ、すまない、特に理由はない。けど聞いてみたくなった」  沢渡は小さく笑って酒を煽っている。その笑みには一切の悪意もなく、何食わぬ表情をしていた。そんな沢渡に俺はチクリと胸が痛んだ。そして、同時に怒りがこみ上げてきて慌てて押さえ込んだ。  ――お前、手際がいいな。将来医者になれよ。  ――は? なんでお前にそんなこと言われなきゃなんないんだよ。  ――お前になら、俺が万が一の時でも安心して身を任せられる。
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