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しばらくして遠くから騒々しい音が聞こえてきた。二人は揃って同じ方向に顔を向ける。
二人のいる崖の下を走り去る二台のバイクと一台の車。その音は遠ざかったかと思うとだんだん近づいてきた。
『鉄塔、ここかよ』
ケンジロウがゴーグルを額まで上げながらそう言った。タカノリもバイクから降りて二人の方に向かってきた。
『遅ぇよ』
にやりと笑ってオミが呟く。仲間の顔を見たことで苛立ちはおさまったらしい。
『わりぃ』
少しだけ目を細めてリュウジが言った。その様子にナオトがくすりと笑う。
『あれ?もしかしてエリーとナオキはまだ?』
『なわけあるか!ナオキ、めっちゃキレてたぞ』
オミの答えに三人は顔を見合わせた。自分たちが文句を言ってやると言っていた時の勢いは彼らにはなかった。
『ですよねー』
『こぇーよー』
『マジであかん』
そんな三人の様子を見てナオトとオミはニヤニヤしていた。
『ま、こってりしぼられとけ』
『で、そのナオキは?』
周りを見回したタカノリがそう問いかけると、ナオトは背後に指を向けた。
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