15人が本棚に入れています
本棚に追加
『偵察って言ってたけど、多分仕掛けてくるんじゃね』
『あー。それ俺の仕事やったのに…』
『最後の場所だからな…待っていられなかったんだろ』
言いながらナオトは振り返ると荒れ果てた施設に目を向ける。そこは昔使われていた発電所。所々で切れた電線がスパークしている。その様からは人で溢れていたころの面影は見えなかった。
『エリーは?』
『エリーは水の調達に行ってるよ。向こうに小さな町があったから…』
オミが町の方向に視線を向けるとケンジロウがそれを目で追った。
『あいつで大丈夫か?なんか騒ぎ起こしたらヤバくね?』
『そう思うなら、もっと早く来いよ』
オミに怒鳴られリュウジはすんませんと小さく呟いた。
『鉄塔が目印って言ってんのに、鉄塔の無い場所で集まる三バカだから仕方ねーよ』
ナオトがからかうように言うと三人は揃って項垂れた。
『本当、すんません』
『返す言葉もない』
『エリーだって分かってるだろ。余計な騒ぎは起こさねーよ』
ナオトはそう言ったが、三人は町のある方向に心配そうな視線を向けた。
最初のコメントを投稿しよう!