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『おい、あれ…』
崖から周囲を見渡していたタカノリが声を上げた。その声に皆がタカノリの周りに集まって行く。
彼らの目に映ったのは砂塵を巻き上げ走る一台の車。その車にはエリーの姿が見えるのだが…彼がいるのは助手席側。エリーはまるで鳥が羽根を広げるかのように両手を広げ、そして右手を空へと突き上げた。
まるでこの空は自分のものだと言いたげなエリーの姿を見て五人は唖然としていた。
『つか、誰が運転してんだ?』
『あいつ、また勝手な事したんじゃねーだろーな!』
彼らの心の内など知らないエリーが五人の元に現れた。車が止まりエリーが降りてくると皆が勢いよく詰め寄って行く。
『エリー!』
『よ!』
『よ!じゃねーよ!お前、誰に運転させてんだ』
オミがキツイ口調でエリーを問い詰める。だがエリーはしれっとした顔をする。
『町でちょっとな…』
そう言ってエリーが車に目を向けると運転席から男が降りてきた。
『すみません。俺が彼に無理を言ったんです』
男はそう言うと五人に頭を下げた。
『皆さんが「STORM RIDERS」なんですか?』
男の言葉に皆が視線を交わした。男はその様子を見てやっぱりと呟いた。
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