第1章

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『だから俺はこいつを連れてきた。それだけだ』 男はエリーに瞳を向けた。その瞳には覚悟を決めた強い光が宿っている。エリーは男の瞳を見返すと黙って頷いた。 『でもなぁ…』 タカノリが言いにくそうに口を開いた。皆がタカノリを見つめる。 『ナオキ、なんて言うかな…』 その一言で空気が重くなった。平然としているように見せてはいるが、エリーは視線が泳いでいる。 『まずいかな…』 『まずいでしょ』 その時リュウジが何かに気付いて発電所の方に視線を向けた。 『ナオキ、戻ってきたっぽい…』 『マジか!』 皆が慌てている中、ナオキはゆっくりと近づいてくる。だが、何かがおかしいことに皆が気付いていた。ナオキは何かを担いでいる。それはどう見ても… 『女、担いでない?』 『人さらいじゃねーか!』 『何やってんだ、あいつ!』 ナオキは肩に女性を担ぎ、騒いでいる仲間の元へとやってきた。 『お前、何やってんだよ?』 『あ?』 ナオトが呆れたような声で言うと、ナオキは明らかに不機嫌な声で答えた。 『装置を仕掛けた所に女がいたんだから、しょうがねーだろーが…』
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