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『だから俺はこいつを連れてきた。それだけだ』
男はエリーに瞳を向けた。その瞳には覚悟を決めた強い光が宿っている。エリーは男の瞳を見返すと黙って頷いた。
『でもなぁ…』
タカノリが言いにくそうに口を開いた。皆がタカノリを見つめる。
『ナオキ、なんて言うかな…』
その一言で空気が重くなった。平然としているように見せてはいるが、エリーは視線が泳いでいる。
『まずいかな…』
『まずいでしょ』
その時リュウジが何かに気付いて発電所の方に視線を向けた。
『ナオキ、戻ってきたっぽい…』
『マジか!』
皆が慌てている中、ナオキはゆっくりと近づいてくる。だが、何かがおかしいことに皆が気付いていた。ナオキは何かを担いでいる。それはどう見ても…
『女、担いでない?』
『人さらいじゃねーか!』
『何やってんだ、あいつ!』
ナオキは肩に女性を担ぎ、騒いでいる仲間の元へとやってきた。
『お前、何やってんだよ?』
『あ?』
ナオトが呆れたような声で言うと、ナオキは明らかに不機嫌な声で答えた。
『装置を仕掛けた所に女がいたんだから、しょうがねーだろーが…』
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