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『気をつけろよ』
オミがそう言うと二人は揃って頭を下げる。男はオミの顔を見つめると口を開いた。
『さっき聞きましたよね?俺たちの噂を知っていてなぜここに来たって…』
『ああ』
男は微笑むと彼らの顔を見回した。
『あなたたちは人に危害を加えたりしない。それを知っていたからです。あなたたちは俺の村に来た時、小さな女の子に水をくれた。本当にあなたたちが噂通りの奴らなら、そんなことしないはずだ』
男はバイクのエンジンを掛けると後ろにいる恋人に優しく微笑んだ。
『あなたたちのこと、俺は忘れません。ありがとう』
『ありがとうございました』
砂埃を巻き上げバイクが去っていくと彼らは顔を見合わせた。
『ちゃんと見てる奴はいるんだな…』
ナオトが呟くと皆の顔に微笑みが浮かぶ。
『さてと…』
ナオトはバイクに向かって歩きながら右手を上げた。そして皆にちらっと視線を向けると
『さあ!パーティーの始まりだ!』
と、弾んだ声を上げた。
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