第2章

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町から戻ってきた男たちは酒瓶を片手にご機嫌な様子だった。しかし、いつもなら迎えに出てくる下っ端たちの姿がない。それに何やら騒々しく感じる。戻ってきた男たちは慌てた様子の下っ端たちに声を荒げた。 『騒々しいぞ!何事だ!』 『頭!』 『頭って呼ぶな!ヘッドだって言ってんだろーが!』 顔をしかめて怒りを露わにする男に下っ端の一人が駆け寄った。 『ヘッド!女がいねーんすよ!』 『なんだと?馬鹿野郎!あんな上玉、そうそういねーんだぞ!探せ!女の足で遠くまで行けるわけがねぇ』 男たちが一斉に外に向おうとした時だった。建物の外から爆音が鳴り響いてきた。その音はまるで彼らを嘲笑うかのように楽しげに響き渡る。 『何の音だ!』 ヘッドが外に出ると発電所の前に四台のバイクと三台の車。彼らの姿を確認するとバイクに乗った男が一人、エンジンを空ふかしてさらに凄まじい音を立てる。 『「STORM RIDERS」!』 ヘッドの叫びが聞こえたのかナオトはゴーグルを額にあげた。そして、まるで挑発するようににやりと笑うと勢いよくバイクを発進させた。
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