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その頃…
『遅ぇな…』
男は苛立ちを隠しもせずにそう呟いた。
『ナオトー、あいつらまだ来ねーの?』
男は少し先の崖から眼下の大地に目を凝らすナオトに向かって叫ぶ。ナオトはゴーグルを上げ真剣な眼差しを向けるが、それらしいものは何一つ見えない。
『まだ…だな』
『ちっ!』
男が舌打ちすると、ナオトが男に尋ねた。
『オミー、場所は本当にここなのか?』
ナオトに聞かれオミはその手の中の端末を操作した。端末にはこの星の情報が入っている。自分たちが向かうべき場所の座標を確認したオミは頷いた。
『ここで間違いない。それに崩れかけた鉄塔が目印だって言ったはずだし…』
『あいつら、どこで油売ってんだか…』
ナオトは苦笑しながらそう呟いた。それを見たオミは顔をしかめる。
『笑い事じゃねーよ!やっとあと一つで…』
『落ち着けよ。焦ったってあいつらはこねーし。リュウジに連絡とってみたら?』
ナオトの言葉を聞いたオミはさらに苦々しげな顔をする。
『なんで俺から連絡しなきゃなんねーんだよ』
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